雑誌概要

「なかよし」は、1954年12月に創刊された(1955年1月号)日本の少女漫画雑誌である。小学館の「ちゃお」、集英社の「りぼん」と並び、三大小中学生向け少女漫画雑誌の一つに数えられている。刊行中の漫画雑誌としては日本最古の存在であり、過去に刊行されていた漫画雑誌を含めても日本最長寿記録を更新している。講談社が発行する幼児・子供向け雑誌の中でも最も古い歴史を持ち、数々の名作や著名な漫画家を輩出してきた。2014年12月には創刊60周年を迎えた。ページ最後の目次には、各作品の作者に特定の質問が投げかけられ、一言程度の回答が書かれるという、独特のスタイルが採用されている。

特徴

  1. 日本最長寿の漫画雑誌:
    1954年の創刊以来、一度も休刊することなく刊行を続けており、日本の漫画雑誌の中で最も長い歴史を持つ。初期は漫画だけでなく、絵物語やグラフ、おしゃれや習い事に関する読み物を含む総合雑誌であったが、1958年頃から漫画をメインとする誌面へと移行した。創刊号から付録がついており、人気スターのブロマイドや香りシールなど、多様な付録が読者に支持されてきた。

  2. 黄金期の到来とジャンルの多様化:
    1970年代後半には『キャンディ♥キャンディ』や『おはよう!スパンク』などの大ヒットにより、部数は180万部を突破し、競合誌を圧倒した。1980年代後半に部数が一時的に低下すると、当時の編集長は恋愛漫画中心の路線から、ファンタジー要素を強化する方針へと転換した。この戦略により、1990年代には『美少女戦士セーラームーン』、『きんぎょ注意報!』、『魔法騎士レイアース』、『カードキャプターさくら』など、バトルヒロイン、ファンタジー、ギャグといった多様なジャンルの作品がヒットし、1993年には部数が205万部を突破した。特に『美少女戦士セーラームーン』はアニメ化により社会現象となるほどのブームを巻き起こした。

  3. 部数変動と現在の立ち位置:
    1990年代後半から部数は徐々に減少したが、2006年度には「りぼん」の部数低下により、一時的に三誌中2位に再浮上した。2015年7月号からは電子版の配信も開始されるなど、時代の変化に対応した取り組みも行われている。近年はピーク時と比較して部数は大幅に減少しているものの、2019年には第1回野間出版文化賞を受賞するなど、その歴史的・文化的な貢献が高く評価されている。

  4. 革新的な付録と記念企画:
    2001年12月号では、日本の少女漫画雑誌として初めて立体フィギュア(モーニング娘。後藤真希のフィギュア)を付録にするなど、常に読者を驚かせる付録を提供してきた。創刊55周年や60周年といった節目には、歴代作家の色紙プレゼント、過去の人気作品キャラクターが登場するゲームソフトの発売、記念ホームページの開設、人気作品の記念プロジェクトなど、多岐にわたる記念施策が展開されている。

代表作品

「なかよし」からは、アニメ化され国民的な人気を博した作品や、少女漫画の歴史に名を刻む傑作が多数輩出されている。

  • 『キャンディ♥キャンディ』(原作:水木杏子、漫画:いがらしゆみこ):
    孤児の少女キャンディが、様々な困難を乗り越えながら成長していく姿を描いた物語である。1970年代を代表する少女漫画として、絶大な人気を誇った。

  • 『美少女戦士セーラームーン』(武内直子):
    ごく普通の少女が月の戦士セーラームーンに変身し、地球の平和のために悪と戦うバトルヒロイン漫画である。国内外で社会現象を巻き起こすほどの人気を博し、アニメ、ミュージカル、実写ドラマなど多岐にわたるメディアミックスの成功例となった。

  • 『きんぎょ注意報!』(猫部ねこ):
    とある金魚「ぎょぴちゃん」を中心に、個性豊かな学園生活を描いたギャグ漫画である。アニメ化もされ、子どもたちに広く親しまれた。

  • 『魔法騎士レイアース』(CLAMP):
    異世界セフィーロに召喚された3人の少女が、世界を救うために戦うファンタジー冒険物語である。アニメ化もされ、少女漫画に新たなジャンルを切り開いた。

  • 『怪盗セイント・テール』(立川恵):
    夜には怪盗として活躍する少女の物語で、華麗な変身と痛快な活躍が人気を博した。

  • 『カードキャプターさくら』(CLAMP):
    小学4年生の少女・木之本桜が、魔法のカード「クロウカード」を回収するために奮闘する魔法少女漫画である。国内外で非常に高い人気を誇り、アニメ化された後も続編が連載されるなど、長く愛されている作品である。

  • 『だぁ!だぁ!だぁ!』(川村美香):
    両親が宇宙に旅立ったため、天才少年と宇宙人の赤ちゃん、そしてペットの奇妙な共同生活が始まるコメディである。

  • 『プリキュアシリーズ』(上北ふたご):
    人気アニメシリーズの漫画版で、毎年異なるプリキュアが連載されており、アニメと共に多くの読者に支持されている。

  • 『どうせ、恋してしまうんだ。』(満井春香):
    現在連載中の人気作で、繊細な心情描写と等身大のキャラクターが読者の共感を呼んでいる。