モーニング

モーニングは、株式会社講談社が発行する週刊青年漫画雑誌である。1982年に創刊され、主に30代以上の男性、特にビジネスマン層を主要ターゲットとしているが、その内容は社会派ドラマからエンターテインメントまで多岐にわたり、性別や年齢を問わず多くの読者を獲得している。
1. 社会派・職業漫画の金字塔
本誌の最大の特徴の一つは、現実社会が抱える問題や、特定の職業の世界を深く、リアルに描く社会派・職業漫画の充実度である。『課長 島耕作』シリーズに代表される企業漫画をはじめ、『ドラゴン桜』(教育)、『コウノドリ』(産科医療)、『ハコヅメ〜交番女子の逆襲〜』(警察)、『リエゾン -こどものこころ診療所-』(児童精神科医療)など、綿密な取材に基づいたリアリティと、エンターテインメント性を両立させた作品群は、本誌の看板となっている。
2. 多様性に富んだジャンル構成
社会派・職業漫画以外にも、『バガボンド』(不定期連載、歴史・剣豪)、『GIANT KILLING』(サッカー)、『宇宙兄弟』(SF・ヒューマンドラマ)、『クッキングパパ』(グルメ・ファミリー)、『きのう何食べた?』(グルメ・日常・LGBTQ+)、『へうげもの』(歴史・文化)など、歴史、スポーツ、SF、グルメ、ヒューマンドラマ、ギャグといった非常に幅広いジャンルの作品を掲載している。「おもしろいこと、全部入り。」というキャッチフレーズが示す通り、多様な読者の嗜好に応えるラインナップである。
3. 質の高いストーリーテリングと画力
総じて、練り込まれたストーリー構成と、安定した高い画力を持つ作品が多い傾向にある。読者の知的好奇心を刺激したり、深い感動や共感を呼んだりするような、読み応えのある物語を提供することに重きを置いている。
4. ベテラン作家と実力派中堅・新人の融合
長年にわたり第一線で活躍するベテラン作家による看板作品が連載の安定感を支える一方で、「MANGA OPEN」(旧:ちばてつや賞 一般部門)などを通じて発掘された実力派の中堅・新人作家による意欲的な作品も多く掲載され、新陳代謝を図っている。
5. メディアミックス展開の成功
掲載作品はテレビドラマ化、アニメ化、映画化されることが非常に多く、社会現象となるようなヒット作も多数生まれている。原作の持つテーマ性やリアリティが、映像作品としても高く評価される傾向にある。
6. 落ち着いた大人のエンターテインメント
他の青年誌と比較して、過度な性的・暴力的描写は比較的少なく、社会性や知性、人間ドラマに焦点を当てた作品が多い。そのため、落ち着いた雰囲気の中で、じっくりと物語を楽しみたい読者層からの支持が厚い。ビジネスマンの通勤のお供としても長年親しまれてきた、大人のための総合エンターテインメント漫画雑誌である。