雑誌概要

「ヤングアニマルZERO」は、2019年9月9日に創刊された白泉社発行の隔月刊青年漫画雑誌である。毎奇数月の9日に発売され、同社の『ヤングアニマル』の増刊誌という位置づけだ。雑誌のテーマは「戦う青年コミック誌」とされており、アクション、ファンタジー、サスペンス、コメディなど、多岐にわたるジャンルの作品を掲載し、男性だけでなく女性読者も意識した「ユニセックス」な内容を目指している。定価は850円で、判型はB5判だ。

特徴

  1. 「戦う青年コミック誌」というテーマ:
    雑誌のキャッチコピーが示す通り、「“戦うもの達”の物語」をテーマに掲げている。これは、肉体的な戦闘だけでなく、精神的な葛藤や社会との戦いなど、様々な「戦い」を描く作品群を指す。読者に「マンガ好きに刺さる」コアな作品を提供し、読後感に「気概」が伝わるような骨太な作品が多い点が特徴だ。

  2. バラエティ豊かなラインナップと多様な作家陣:
    創刊当初から久世岳、宮月新、押切蓮介、稲井カオル、福山リョウコ、藏丸竜彦、そして三浦建太郎といった、各誌で活躍する著名な漫画家や個性的な作家を多数起用している。これにより、群像劇、涙のドラマ、サスペンス、アクション、コメディなど、「様々なジャンル」の「幅広いテーマの漫画」が掲載されており、多様な読者の好みに対応できる強みを持つ。

  3. 三浦建太郎作品の存在感:
    創刊時から『ベルセルク』の作者である三浦建太郎(スタジオ我画プロデュース)による『ドゥルアンキ』が連載され、誌面の目玉の一つとなっていた。三浦の逝去後も、読者に初期作品を届けるという編集部の意向により、『王狼』『王狼伝』『ジャパン』といった過去作のリバイバル連載が行われ、氏の作品が本誌の重要な柱となっている。

  4. 積極的なメディアミックス展開:
    掲載作品のメディアミックスにも力を入れており、技来静也の『拳奴死闘伝セスタス』(旧作『拳闘暗黒伝セスタス』の第2部)はテレビアニメ化が決定し、本誌への移籍連載を果たした。これは、雑誌が単なる漫画の掲載媒体に留まらず、作品を多角的に展開していく姿勢を示している。

  5. 「ユニセックス」な読者層へのアプローチ:
    「ユニセックス」を目標に掲げており、男性読者だけでなく、女性読者も楽しめるような作品選定が行われている。これは、従来の青年漫画誌の枠にとらわれず、より広い読者層にアピールしようとする意図の表れだ。

代表作品

「ヤングアニマルZERO」からは、創刊間もないながらも話題作が多数生まれている。

  • 『ドゥルアンキ』(スタジオ我画 produced by三浦建太郎):
    三浦建太郎がプロデュースを手掛けたファンタジー作品で、創刊号から表紙を飾り、雑誌の顔として期待された。三浦の逝去により連載は終了したが、その後のリバイバル連載作品へと繋がる重要な役割を果たした。

  • 『聴けない夜は亡い』(福山リョウコ):
    音のない世界で歌を愛する高校生たちを描く、繊細な青春ストーリー。福山リョウコらしい独特の感性と表現力が光る人気作品だ。

  • 『ニラメッコ』(久世岳):
    日常に潜むシュールな笑いや人間模様を独特のタッチで描く、個性的なコメディ。久世岳のユニークな世界観が多くの読者を惹きつけている。

  • 『拳奴死闘伝セスタス』(技来静也):
    古代ローマを舞台にした格闘漫画『拳闘暗黒伝セスタス』の第2部。過酷な運命に翻弄されながらも戦い続ける主人公の姿を描き、テレビアニメ化されたことで知名度を高めた。

  • 『数学ゴールデン』(藏丸竜彦):
    数学をテーマにした青春ドラマ。数学の奥深さや美しさを通して、登場人物たちの成長を描く。

  • 『OL、ラッコを飼う。』(井上知之):
    OLとラッコという異色の組み合わせが織りなす癒やし系コメディ。その可愛らしさと癒やし効果で人気を集めている。

「ヤングアニマルZERO」は、これらの作品を通じて、「戦う」というテーマを多角的に掘り下げ、既存の青年漫画の枠を超えた新しい価値を読者に提供し続けている。