雑誌概要

概要

「週刊ヤングジャンプ」は、1979年5月17日に集英社から創刊された週刊青年漫画雑誌である。現在刊行中の週刊青年漫画誌としては最長の歴史を誇る。創刊編集長は、当時『週刊少年ジャンプ』の二代目編集長を務めていた中野祐介が兼任した。『週刊少年ジャンプ』の新人漫画賞の名称を流用して「ヤングジャンプ」と命名された。創刊時の編集方針は、『週刊少年ジャンプ』の「友情・努力・勝利」に対し、青年誌の自由度を追求した「(性を内包した)愛・暴力・権力(からの解放)」を掲げた。これは、想定読者層である10代後半から20代前半の若者が直面する壁を描くというコンセプトに基づいている。同じジャンプ系列ではあるものの、集英社内では『週刊少年ジャンプ』とライバル関係にあり、編集部間の交流はほとんどない。

特徴

  1. 自由度の高いテーマ設定と作風:
    少年漫画の枠を取り払った青年誌として、恋愛、社会問題、ギャンブル、サスペンス、ファンタジーなど、多岐にわたるジャンルの作品を掲載している。読者の心の機微や現実の葛藤を深く掘り下げた作品が多く、青年層の多様なニーズに応えている。

  2. グラビアアイドルの表紙起用:
    1990年代前半以降、原則として女性アイドルのグラビアが表紙を飾ることが雑誌の大きな特徴となっている。これにより、漫画以外の層にもアピールし、特に広末涼子など、数々の人気タレントをブレイクさせるきっかけも生み出してきた。近年では、掲載作品のカラーイラストや男性タレント、YouTuberが表紙を飾る例も増えている。

  3. 漫画以外の充実したコンテンツ:
    誌面には漫画作品だけでなく、巻頭グラビア、袋とじ企画、ミュージシャンや著名人へのインタビュー記事など、多角的なエンターテインメント要素が盛り込まれている。これにより、読者は雑誌全体で幅広い情報を楽しむことができる。

  4. 積極的なメディアミックス展開:
    掲載作品は、アニメ化、テレビドラマ化、実写映画化といったメディアミックスが非常に盛んに行われている。これにより、雑誌の枠を超えて幅広い層に作品が知られ、社会現象を巻き起こす大ヒット作を数多く生み出してきた。

  5. 電子版の導入と周年記念イベント:
    2018年には電子版の配信を開始し、読者の利便性を向上させている。また、2019年には創刊40周年を記念して「ヤンジャン文化祭」を開催、2024年には45周年を記念した特別番組の配信や、レジェンドグラビア企画を行うなど、精力的に読者との交流を深めている。

  6. トレードマークキャラクター:
    創刊時から松下進デザインによるクマをモチーフとしたトレードマークキャラクターが存在する。初代「Mac Bear」(1979年〜1999年)と2代目「Buddy Bear」(1999年〜現在)があり、F1マシンのスポンサーロゴにも採用された実績を持つ。

代表作品

「週刊ヤングジャンプ」からは、時代を象徴する数々の名作が誕生している。

  • 『リアル』(井上雄彦):
    車椅子バスケットボールに打ち込む若者たちの人間ドラマを描いた作品で、長期にわたり連載されている。

  • 『キングダム』(原泰久):
    中国の春秋戦国時代を舞台にした歴史大作で、圧倒的なスケールとドラマ性で幅広い層に人気を博し、アニメ化、実写映画化もされている。

  • 『テラフォーマーズ』(橘賢一(画) / 貴家悠(作)):
    火星を舞台に人類と進化したゴキブリとの戦いを描くSFサバイバル作品で、アニメ化、実写映画化された。

  • 『GANTZ』(奥浩哉):
    死んだはずの人間たちが謎の球体GANTZによって異星人との戦いを強いられるSFアクション作品で、アニメ化、実写映画化された。

  • 『東京喰種トーキョーグール』(石田スイ):
    人間を捕食する「喰種」が存在する世界を舞台にしたダークファンタジーで、アニメ化、実写映画化され大きな話題を呼んだ。

  • 『ゴールデンカムイ』(野田サトル):
    明治時代末期の北海道を舞台に、金塊を巡る冒険を描いた歴史サバイバル作品で、アニメ化、実写映画化、テレビドラマ化もされた。

  • 『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』(赤坂アカ):
    エリート高校の生徒会を舞台に、恋愛頭脳戦を繰り広げるラブコメディで、アニメ化、実写映画化され大ヒットを記録した。

  • 『【推しの子】』(赤坂アカ(作) / 横槍メンゴ(画)):
    芸能界の光と闇を描いたミステリー作品で、アニメ化され社会現象を巻き起こした。実写ドラマ化、映画化も決定している。

  • 『サラリーマン金太郎』(本宮ひろ志):
    元暴走族のヤクザがサラリーマンに転身し、破天荒な活躍を見せる人気作品で、テレビドラマ化された。

  • 『少年アシベ』(森下裕美):
    ゴマフアザラシの「ゴマちゃん」との交流を描いた心温まる日常コメディで、アニメ化された。

これらの作品以外にも、「週刊ヤングジャンプ」は常に新しい才能を発掘し、多様なジャンルの作品を世に送り出し続けている。