雑誌概要

「週刊少年チャンピオン」は、秋田書店が発行する週刊少年漫画雑誌である。1969年7月に「少年チャンピオン」として隔週刊で創刊され、1970年6月24日から「週刊少年チャンピオン」と改題し、毎週刊行となった。毎週木曜日発売(一部地域は金曜日)で、定価は360円だ。略称は「チャンピオン」や「週チャン」であり、ツートンカラーのシルクハットを被った「少チャン」がマスコットキャラクターである。

特徴

  1. 自由でアクの強い作風:
    他の週刊少年漫画誌と比較して、自由な発想とアクの強い作風を持つ漫画が多く掲載されていると形容される。これは、過去の掲載作品の変遷や、1970年代の黄金期に壁村耐三編集長が築いた「王道少年誌路線」と多様なジャンルを網羅した姿勢、さらに1980年代以降の不良漫画路線の強化、そして1990年代以降の個性的な若手作家の台頭といった歴史的背景に由来する。

  2. 新人作家の積極的な登用と育成:
    新人作家のための増刊号は発行されていないが、その代わりとして読切作品や短期集中連載の掲載が多く、ほぼ毎週そのための枠が確保されている。これらの作品は、読者アンケートでの評価が高いと編集部に判断されれば、早い段階で毎号連載が始まるシステムが特徴だ。一方で、単行本の初版発行部数は少なめに抑えられる傾向があり、人気作でも発売直後に品薄となり、入手が困難になる場合がある。

  3. 多様なジャンルの開拓と変遷:
    創刊当初から手塚治虫、さいとう・たかをといった有力作家を揃え、1970年代にはスポ根、学園もの、ホラー、お色気、ギャグなど、ほぼ全てのジャンルを網羅する多様性を示した。1980年代には不良漫画が大幅に増加し、「熱さ・男らしさ」が形成された。1990年代以降は、不良漫画に加え、個性的な冒険ファンタジー、コメディ、スポーツ、お色気学園ものなど、ジャンルを問わないヒット作が継続的に生まれた。2000年代には「萌え系」作品も登場するなど、常に新しいジャンルや表現を取り入れてきた。

  4. メディアミックスとグラビア:
    掲載作品のアニメ化、ドラマ化、実写映画化といったメディアミックスが活発に行われている。特に近年では『弱虫ペダル』や『文豪ストレイドッグス』、『魔入りました!入間くん』などがアニメ化され、広く知られるようになった。また、競合誌と同様に女性アイドルによるグラビアが表紙を飾る回数が多く、水着グラビアの掲載ページも多い点が特徴である。

代表作品

「週刊少年チャンピオン」からは、日本の漫画史に名を刻む数々の名作や、長年にわたり読者に愛されるヒット作が誕生している。

  • 1970年代の黄金期を支えた作品:

    • 『ドカベン』シリーズ(水島新司):野球漫画の金字塔。

    • 『ブラック・ジャック』(手塚治虫):医療をテーマにしたヒューマンドラマ。

    • 『がきデカ』(山上たつひこ):革新的なギャグ漫画。

    • 『マカロニほうれん荘』(鴨川つばめ):不条理ギャグの傑作。

    • 『750ライダー』(石井いさみ):オートバイを題材にした青春漫画。

  • 1980年代の不良漫画ブームを牽引した作品:

    • 『本気!』(立原あゆみ):長期連載された極道漫画。

    • 『Let’sダチ公』(作画:木村知夫、原作:積木爆):当時の不良漫画を代表する作品。

  • 1990年代以降の多様なヒット作:

    • 『グラップラー刃牙』シリーズ(板垣恵介):格闘漫画の金字塔で、現在も続編が連載される看板作品。

    • 『浦安鉄筋家族』シリーズ(浜岡賢次):過激なギャグと不条理コメディで長期連載が続く看板作品。

    • 『シャカリキ!』(曽田正人):自転車ロードレースを題材としたスポーツ漫画。

    • 『覚悟のススメ』(山口貴由):独自の世界観を持つバトル漫画。

    • 『弱虫ペダル』(渡辺航):自転車競技をテーマにした人気作で、アニメ化された看板作品。

    • 『吸血鬼すぐ死ぬ』(盆ノ木至):ハイテンションなギャグコメディで、アニメ化もされた。

    • 『魔入りました!入間くん』(西修):魔界を舞台にした学園ファンタジーで、アニメ化された人気作。

    • 『BEASTARS』(板垣巴留):動物たちが暮らす世界を舞台にした青春群像劇で、アニメ化され国内外で高い評価を得た。

    • 『桃源暗鬼』(漆原侑来):現代を舞台にした伝奇バトルアクション。