少年マガジンエッジ

「少年マガジンエッジ」は、講談社が2015年9月17日から2023年10月17日まで発行していた月刊漫画雑誌である。毎月17日発売で、平綴じB5サイズ。2013年12月に創刊が公表され、当初は2015年春に創刊予定であった。2023年10月17日発売の11月号をもって休刊した。創刊時の編集長である小佐野文雄は、「マガジンブランドの一番「外側」を行く、「好き」を極めるネオ・ビジュアル少年誌」と定義し、「マガジングループの最も外側で、漫画の新時代を切り開く「先端」となるコミック誌」を目指していた。少年・男性読者だけでなく、女性読者もターゲットに含んでいた。
「エッジ」の名の通り尖った作品群:
誌名が示すように、「マガジンブランドの最も外側を行く、とがった作品を掲載」することをコンセプトに掲げていた。ビジュアル的にハイクオリティな作品、既存のジャンルにとらわれない個性的な作品を多く取り揃え、読者に「熱狂」を届けることを目指した。創刊号の表紙を手掛けた武井宏之も「尖ってなんぼ」「目立ったことしてほしい」「どんどん突拍子もないことしてほしい」と語るなど、挑戦的な姿勢が特徴であった。
少年・青年・女性読者を意識した多様なラインナップ:
明確に少年誌でありながらも、男性読者だけでなく女性読者もターゲットにしている点がユニークである。これにより、従来の少年漫画の枠に収まらない、多様なテーマやジャンルの作品が掲載された。学園もの、異能力バトル、ファンタジー、日常系コメディ、ラブコメディ、ホラー、コミカライズなど、非常に幅広いジャンルが共存していた。
講談社内の他媒体への連携:
休刊に際し、連載作品の多くが『マガジンポケット』、『コミックDAYS』、『月刊少年シリウス』、『水曜日のシリウス』、『Palcy』、『ツイシリ』といった講談社内のウェブ媒体や雑誌へ移籍し、連載が継続されることになった。これは、作品の命脈を保ちつつ、講談社グループ全体でのデジタル戦略を強化する動きの一環である。
メディアミックス展開:
掲載作品の一部はテレビアニメ化されており、特に『淫らな青ちゃんは勉強ができない』、『江戸前エルフ』、『しかのこのこのここしたんたん』、『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』などがアニメ化された。これにより、雑誌の枠を超えて作品が広く認知される機会を得た。
「マガジンエッジKC」レーベル:
本誌に掲載された作品の単行本は「マガジンエッジKC」レーベルから刊行された。このレーベルは、本誌休刊後も『水曜日のシリウス』や『Palcy』などの連載作品の単行本を刊行し、さらに『シャーマンキング』の完全版も含むなど、マガジンブランドの多様な作品を網羅するレーベルとして機能している。
「少年マガジンエッジ」からは、尖ったコンセプトを反映した個性的な作品が数多く生まれた。
休刊号まで連載された主な作品(移籍先も併記):
『SHAMAN KING THE SUPER STAR』(武井宏之):
『シャーマンキング』の新章であり、本誌の看板作品の一つであった。休刊後は『マガジンポケット』へ移籍。
『江戸前エルフ』(樋口彰彦):
神社に住むエルフの日常を描くコメディで、アニメ化された。休刊後は『コミックDAYS』へ移籍。
『左手のための二重奏』(松岡健太):
音楽をテーマにした人間ドラマ。
『中禅寺先生物怪講義録 先生が謎を解いてしまうから。』(作画:志水アキ、原案:京極夏彦):
京極堂シリーズのコミカライズ。アニメ化が決定しており、休刊後は『コミックDAYS』へ移籍。
『しかのこのこのここしたんたん』(おしおしお):
奇妙なシカの角を持つ女子高生が繰り広げるギャグ漫画で、アニメ化された。休刊後は『マガジンポケット』へ移籍。
『濁る瞳で何を願う ハイセルク戦記』(作画:斎藤八呑、原作:トルトネン):
小説のコミカライズ。休刊後は『水曜日のシリウス』へ移籍。
『ヒプノシスマイク -Division Rap Battle- side D.H & B.A.T+』(作画:calamarium、原作:EVIL LINE RECORDS):
人気コンテンツのコミカライズ。休刊後はコミックス描きおろしとして継続。
『国産少女クラリス』(yoruhashi):
ロボットと人間の関係を描くSF作品。休刊後は『コミックDAYS』へ移籍。
『ウラハラ上司のウサギがぽろん』(あきつ鉄鋼):
休刊後は『ツイシリ』へ移籍。
『誰が奥寺翔を殺したのか?』(作画:行徒、原作:河田雄志):
ミステリー作品。休刊後は『コミックDAYS』へ移籍。
『ビリオンダラー・スレイブ』(作画:マキマヨ、原作:GoRa):
休刊号から連載開始した新連載。休刊後は『コミックDAYS』へ移籍。
過去の主な連載作品:
『淫らな青ちゃんは勉強ができない』(カワハラ恋):
恋愛と学業に悩む女子高生を描くコメディで、アニメ化された。
『キノの旅 the Beautiful World』(作画:シオミヤイルカ、原作:時雨沢恵一):
人気ライトノベルのコミカライズ。
『鉄鼠の檻』(作画:志水アキ、原作:京極夏彦):
京極堂シリーズのコミカライズ。
『猫ヶ原』(武井宏之):
作者によるオリジナル作品で、創刊号から連載された。
「少年マガジンエッジ」は、その短い歴史の中で、講談社グループの「尖った」作品群を担い、多くの人気作を輩出してきた。休刊後も、その精神と作品は他の媒体で引き継がれている。