月刊ヤングマガジン

『月刊ヤングマガジン』は、講談社が発行する月刊の青年漫画雑誌である。毎月20日に発売され、『週刊ヤングマガジン』の姉妹誌にあたる。略称は「月刊ヤンマガ」や「月刊YM」。
1999年8月19日に『別冊ヤングマガジン』として創刊。2003年10月に一旦休刊した後、同年12月に隔月刊誌としてリニューアル創刊された。その後、2009年10月に隔月刊としての刊行を終了し、同年12月9日より現在の誌名『月刊ヤングマガジン』に変更して月刊化された。
2021年4月には、同じく講談社が発行する『ヤングマガジンサード』との合併が決定し、同誌で連載されていた18作品が『月刊ヤングマガジン』へ移籍し、2021年6月号から同時連載が開始された。さらに2021年11月には、同年12月発売の2022年1号より講談社のウェブ漫画サイト『ヤンマガWeb』と合流することを発表し、中綴じの形態にリニューアルされるなど、媒体戦略を積極的に変化させている。
『週刊ヤングマガジン』とは異なる独自の誌風:
『週刊ヤングマガジン』の姉妹誌ではあるが、よりじっくりと物語を展開できる月刊誌の特性を活かし、読切作品や新人の連載から始まり、長編のストーリー性のある作品、ニッチなテーマを扱った作品などを多く掲載している。これにより、週刊誌とは異なる独自の読者層と作風を確立している。
多様なジャンルの青年漫画:
アクション、SF、ファンタジー、スポーツ、日常コメディ、ラブコメ、任侠、ミステリー、アウトローなど、非常に幅広いジャンルの作品を網羅している。特に、実写映画化やアニメ化されるような人気作品の続編やスピンオフ、あるいはゲームや小説のコミカライズ作品も多く見られる。
積極的な媒体戦略と連載作品の移行:
度重なる誌名変更や刊行形態の変更、姉妹誌との合併など、メディア環境の変化に柔軟に対応し、常に新しい読者層の獲得を目指している。特に『ヤングマガジンサード』との合併や『ヤンマガWeb』との合流は、紙媒体とデジタル媒体の連携を強化し、連載作品の継続的な露出を図る戦略の一環である。これにより、多くの人気作品がプラットフォームを移しながら連載を続けている。
エンターテインメント性と社会性のバランス:
娯楽性の高い作品が多い一方で、『R-16』や『COPPELION』など、社会問題や人間ドラマに深く切り込んだ作品も掲載される。読者層である青年層が求める多様なニーズに応えるべく、エンターテインメントとしての面白さと、テーマ性のある内容をバランス良く提供している。
『月刊ヤングマガジン』とその前身からは、数々のヒット作や話題作が誕生している。
『[R-16]R』(原作:佐木飛朗斗、漫画:東直輝):
『疾風伝説 特攻の拓』で知られる作者による、不良の青春を描く作品。
『愛してナイト』(多田かおる):
後に『週刊マーガレット』に移籍し大ヒットするロックバンドを巡るラブストーリー。
『伊賀野カバ丸』(亜月裕):
忍者学校育ちの少年が巻き起こす学園コメディ。アニメ化、実写映画化もされた。
『kiss×sis』(ぢたま(某)):
義理の姉妹との恋愛を描くラブコメディ。アニメ化された。
『今日の5の2』(桜場コハル):
小学生の日常を描くショートコメディ。アニメ化された。
『COPPELION』(井上智徳):
放射能汚染された東京を舞台に、遺伝子操作された少女たちが活動するSFアクション。アニメ化された。
『サイコバンク』(芹沢直樹):
人の心を読む能力を持つ探偵の活躍を描く。
『3×3 EYES 鬼籍の闇の契約者』(高田裕三):
人気ファンタジー『3×3 EYES』の続編。
『攻殻機動隊 ARISE 〜眠らない眼の男 Sleepless Eye〜』(脚本:藤咲淳一、漫画:大山タクミ):
人気SFシリーズ『攻殻機動隊』の新たな物語。
『中間管理録トネガワ』(協力:福本伸行、原作:萩原天晴、漫画:三好智樹・橋本智広):
『カイジ』のスピンオフ作品で、アニメ化もされ人気を博した。
『デビルマン対闇の帝王 -DEVILMAN vs HADES-』(原作:永井豪、漫画:TEAM MOON):
永井豪の代表作『デビルマン』とギリシャ神話を融合させた作品。
『亜人ちゃんは語りたい』(ペトス):
人間以外の「亜人」の生徒たちと、彼女たちを研究する教師の交流を描く学園ファンタジーコメディ。アニメ化された。
『バイオレンスジャック20XX』(原作:永井豪、漫画:衣谷遊):
永井豪のバイオレンスアクション漫画のリメイク。
『バカ姉弟』(安達哲):
天才小学生姉弟の日常を描くシュールコメディ。アニメ化された。
『辺境の老騎士バルド・ローエン』(原作:支援BIS、漫画:菊石森生):
老練な騎士が引退後に旅をする異世界ファンタジー。
『RIN』(新井英樹):
漫画家の苦悩と情熱を描いた作品。
『レッツ☆ラグーン』(岡崎武士):
無人島に漂着した少年少女たちのサバイバル物語。
『首都高SPL -銀灰のSPEEDSTER-』(楠みちはる):
人気作『湾岸ミッドナイト』シリーズの続編で、公道でのカーバトルを描く。現在も連載中である。
『亜童』(天野雀):
謎のウイルスによって「亜童」となった子供たちと、それに抗う人々を描くSFサスペンス。現在も連載中である。
『解雇された暗黒兵士(30代)のスローなセカンドライフ』(るれくちぇ/原作:岡沢六十四):
解雇された暗黒兵士が、新たな場所で穏やかな生活を送る異世界ファンタジー。アニメ化もされた。現在も連載中である。
『テンカイチ 日本最強武芸者決定戦』(あずま京太郎/原作:中丸洋介):
戦国時代の日本を舞台に、最強の武芸者を決めるバトルロイヤルを描く。現在も連載中である。
これらの作品は、『月刊ヤングマガジン』が多様なジャンルとテーマを扱い、青年層の幅広いニーズに応え続けていることを示している。