雑誌概要

「月刊ヤングキングアワーズGH」は、少年画報社が発行する月刊漫画雑誌である。2006年12月号(10月19日発売)に『月刊ヤングキング』として創刊された。2011年9月号のリニューアルで「ヒロイン至上主義」を掲げ、姉妹誌『ヤングキング』および『ヤングキングアワーズ』から複数の作品が移籍。これに伴い中綴じから無線綴じ(平綴じ)に変更された。2013年10月号(8月16日発売)より現誌名に改題・リニューアルされ、発売日も毎月16日に変更された。定価は創刊時380円から、リニューアルを経て680円となっている。

特徴

  1. 「ヒロイン至上主義」から「ヤングキングアワーズ」補完路線への転換:
    創刊当初は『月刊ヤングキング』としてスタートし、2011年のリニューアルで「ヒロイン至上主義」を掲げ、お色気要素や女性キャラクターを前面に出した作品を強化した。しかし、2015年前後にはこの路線から転換し、ほとんどの作品が完結。以降は姉妹誌であるSF・ファンタジー・バトル系の『ヤングキングアワーズ』の掲載作品ジャンルに統一され、同誌を補完する役割を明確にしている。サスペンスや社会派といったジャンルの作品は『ヤングキング』が担うという住み分けがされている。

  2. SF・ファンタジー・バトルを中心に幅広いジャンルを網羅:
    『ヤングキングアワーズ』補完路線への転換後、SF、ファンタジー、バトルアクション、学園、コメディなど、多様なジャンルの作品が掲載されるようになった。特に、異世界転生ものや能力バトル、メカニックが登場する作品など、『ヤングキングアワーズ』と親和性の高い作品が多い。

  3. ウェブ漫画サイトからの移籍連載:
    『同居人がこの世のモンじゃない』のように、ウェブ漫画サイト『WebBULL』から移籍してきた作品も存在し、デジタルプラットフォームでの人気作品を雑誌に取り込む動きも見られる。

  4. 単行本レーベルの一貫性:
    単行本は、本誌『ヤングキング』系列の総合レーベル「ヤングキングコミックス(YKコミックス)」より刊行される。これは『月刊ヤングキング』時代と『月刊ヤングキングアワーズGH』時代を通して共通しており、読者にとって分かりやすいレーベル構成となっている。

  5. 独特のユーモアとキャラクター性:
    「ヒロイン至上主義」時代の影響もあり、魅力的な女性キャラクターが登場する作品が多い。また、奇抜な設定や独特のユーモアを持つコメディ作品も多く、他の青年漫画誌とは一線を画す個性が光る。

代表作品(連載中および主な連載終了作品)

「月刊ヤングキングアワーズGH」からは、多様なジャンルの中から個性的な作品が生まれ、多くの読者に親しまれてきた。

現在の主な連載作品:

  • 『蒼き鋼のアルペジオ〜海洋技術総合学院タカオ部〜』(Ark Performance):
    SF海洋戦記『蒼き鋼のアルペジオ』のスピンオフ作品で、人気キャラクター「タカオ」を主役とした学園コメディ。

  • 『悪役令嬢転生おじさん』(上山道郎):
    おじさんが乙女ゲームの悪役令嬢に転生するコメディで、異世界転生もののユニークな切り口が特徴だ。

  • 『異世界狙撃手(スナイパー)は女戦士のモフモフ愛玩動物(ペット)』(作画:いのまる、原作:光永康則):
    異世界でスナイパーがペットとして活躍するファンタジー。

  • 『同居人がこの世のモンじゃない』(仲邑エンジツ):
    奇妙な同居人との日常を描くコメディで、ウェブ漫画サイトから移籍してきた。

  • 『女神の加護を受けしママのサーガ』(塩野干支郎次):
    独自の作風で知られる作者によるファンタジー作品。

  • 『女神の子』(田中ほさな):
    独特な世界観を持つファンタジー。

過去の主な連載作品:

  • 『愛気』『愛気-S』(ISUTOSHI):
    『ヤングキング』から移籍した格闘漫画で、独特の性的な描写を伴うバトルが特徴。

  • 『アホゲノム〜座牟坂サタニックヘアー〜』(井上和郎):
    奇抜な設定の学園コメディ。

  • 『悪霊神 〜あらがみ〜』(竹山祐右):
    神々や悪霊をテーマにしたバトルファンタジー。

  • 『ウイングドマーメイズ』(塩野干支郎次):
    美少女とメカニックを組み合わせたオリジナル作品。

  • 『うわこい』(糸杉柾宏):
    三角関係をテーマにした学園恋愛漫画で、『ヤングキング』に移籍した。

  • 『エロガク 私立江口学園』(小本田絵舞):
    「ヒロイン至上主義」時代の特色を象徴するお色気学園コメディ。

  • 『おくさん』(大井昌和):
    大人の女性の日常を描くコメディ。

  • 『ツマヌダ格闘街』(上山道郎):
    『ヤングキングアワーズ』から移籍した格闘漫画。

  • 『デスレス』(六道神士):
    『ヤングキング』から移籍したバトルアクション。

  • 『並木橋通りアオバ自転車店』(宮尾岳):
    自転車を巡る人間ドラマで、『ヤングキング』と『ヤングキングアワーズ』で並行連載されていた。

  • 『ブロッケンブラッドVIII』『ブロッケンブラッドIX』(塩野干支郎次):
    『ヤングキングアワーズ』から移籍した吸血鬼バトルアクション。

  • 『マンガで分かる肉体改造』『マンガで分かる心療内科 番外編』(作画:ソウ、原作:ゆうきゆう):
    ウェブ発の人気啓蒙漫画シリーズで、多様なテーマを扱った。

これらの作品は、「月刊ヤングキングアワーズGH」が、その時々のコンセプト変化に対応しながら、SF、ファンタジー、バトル、コメディといったジャンルで独自の路線を築き、特定の読者層に支持される作品を提供してきたことを示している。