月刊コミックゼノン

「月刊コミックゼノン」は、コアミックスにより2010年10月25日に創刊された月刊青年漫画雑誌である。創刊当初は徳間書店からの発売であったが、2020年3月以降はコアミックスが自社で発売、そして2021年4月からは発行会社のノース・スターズ・ピクチャーズがコアミックスと合併したことで、編集、発売、発行の全てをコアミックスが担う体制となっている。
『週刊コミックバンチ』の後継誌:
コアミックスがかつて新潮社と提携して発行していた『週刊コミックバンチ』の事実上の後継誌の一つである。創刊編集長も『CB』と同じ堀江信彦が務め、『CB』から多くの漫画家や作品が移籍してきたことで、その系譜を継ぐ雑誌としての位置づけを確立している。
誌名に込められた意味と編集方針:
誌名「ゼノン」は、観世音菩薩の「世音」に由来し、「広く世の声を聞く」という意味を持つ。また、英文表記「ZENON」の頭文字「Z」には、「究極」の意味が込められている。編集方針としては「傾(かぶ)く」を掲げ、読者を驚かせるような革新的な誌面作りを目指している。
「”紙”の雑誌」の枠を超えた展開:
単なる紙媒体の雑誌に留まらず、ウェブコミック配信サイト『ゼノンランド』(モバイルサイト)や、東京都武蔵野市吉祥寺にある喫茶店『CAFFE ZENON』と連動させることで、紙、電子、空間という異なるメディアを横断する「雑誌」のあり方を追求している。創刊に先駆けて行われたイベントでの「創刊0号」無料配布なども、この多角的なアプローチの一環である。
多様なジャンルと実力派作家陣:
武論尊・原哲夫といったベテラン作家陣による作品や、そのスピンオフ・リメイク作品が多数掲載されているほか、現代社会の問題をテーマにした作品、コメディ、グルメ漫画など、幅広いジャンルをカバーしている。人間ドラマ、アクション、歴史もの、日常系など、硬軟織り交ぜたラインナップが特徴だ。
積極的なメディアミックス展開:
掲載作品はアニメ化やテレビドラマ化といったメディアミックスが積極的に行われており、作品の認知度向上と人気拡大に貢献している。
「月刊コミックゼノン」からは、多くのファンに支持される個性的な作品が生まれている。
『いくさの子 織田三郎信長伝』(漫画:原哲夫、原作:北原星望):
織田信長を主人公にした歴史漫画。原哲夫の迫力ある画風が特徴。
『ANGEL HEART 2ndシーズン』(北条司):
『シティーハンター』の世界観を受け継ぐ『エンジェル・ハート』の続編。ドラマ化もされた。
『DD北斗の拳』(漫画:カジオ、原作:武論尊・原哲夫):
『北斗の拳』のキャラクターたちが現代の平和な世界で繰り広げるギャグ漫画。アニメ化された。
『ちるらん 新撰組鎮魂歌』(漫画:橋本エイジ、原作:梅村真也):
新撰組の隊士たちの激しい生き様を描いた歴史アクション。スピンオフ作品『ちるらん にぶんの壱』も連載され、アニメ化された。
『おとりよせ王子 飯田好実』(高瀬志帆):
全国の美味しいお取り寄せグルメを楽しむサラリーマンの日常を描いたグルメ漫画。ドラマ化された。
『喰う寝るふたり 住むふたり』(日暮キノコ):
同棲カップルの視点の違いを男女それぞれの視点から描いた共感性の高い日常漫画。ドラマ化され、続編も連載された。
『アルテ』(大久保圭):
ルネサンス期のフィレンツェを舞台に、女性の画家が夢を追う姿を描いた歴史ドラマ。アニメ化された。2025年6月号で完結予定。
『織田シナモン信長』(目黒川うな):
戦国武将たちが現代に犬として転生した姿を描く異色のギャグ漫画。アニメ化された。
『トレース 科捜研法医研究員の追想』(古賀慶):
科捜研の法医研究員が科学捜査で事件の真相を明らかにするミステリー。ドラマ化された。
『めしぬま。』(あみだむく):
食事の際に見せる表情が魅力的な男性を描いたグルメコメディ。Webアニメ化された。現在も連載中。
『今日からCITY HUNTER』(原作:錦ソクラ、原案:北条司):
『シティーハンター』のスピンオフで、同作の熱狂的ファンである会社員が新宿に転生するコメディ。現在も連載中。
『蒼天の拳 リジェネシス』(作画:辻秀輝、原作:武論尊・原哲夫、脚本:八津弘幸):
『蒼天の拳』の続編で、アニメ化された。現在も連載中。
『終末のワルキューレ』(漫画:アジチカ、原作:梅村真也、構成:フクイタクミ):
神々と人類の代表者が戦う最終闘争「ラグナロク」を描くバトル漫画。Webアニメ化され、スピンオフ作品も複数連載されている。現在も連載中。
『前田慶次 かぶき旅』(漫画:出口真人、原作:原哲夫・堀江信彦):
「義風堂々!!」シリーズの第四部。現在も連載中。
『魔女大戦 32人の異才の魔女は殺し合う』(作画:塩塚誠、原作:河本ほむら):
歴史上の魔女たちが魔女の王の座をかけて戦うバトル漫画。現在も連載中。
これらの作品は、「月刊コミックゼノン」が持つ多様なエンターテインメント性、そして『北斗の拳』をはじめとする名作の系譜を受け継ぎながら、新たな価値創造に挑戦し続ける姿勢を示している。