まんがタイムきららフォワード

「まんがタイムきららフォワード」(まんがタイムきららForward)は、芳文社が発行する月刊漫画雑誌である。原則として毎月24日に翌々月号が発売される。2006年3月23日に『まんがタイムきらら』の増刊として創刊され(Vol.1)、2007年8月24日に『まんがタイムきららフォワード』として独立創刊を果たした。B5判の平綴じという装丁だ。キャッチコピーは「ビジュアルストーリーコミック誌」である。
「きらら」系列唯一のストーリー誌:
「まんがタイムきらら」系列の雑誌としては4番目に創刊されたが、他誌が主に4コマ漫画を掲載するのに対し、本誌はストーリー漫画を専門とする点が最大の特徴である。これにより、4コマ漫画の小ゴマでは表現しづらい大ゴマを使った迫力あるシーンが多く、物語の展開やキャラクターの心情描写に深みを持たせることが可能となっている。
多様なジャンル、特にSFやファンタジーの充実:
他の「きらら」系雑誌が日常系や学園コメディに重点を置く傾向があるのに対し、「フォワード」はSF、ファンタジー、サスペンス、感動的な人間ドラマなど、幅広いジャンルを積極的に取り入れている。特に、非日常的な世界観や設定を持つ作品が多く、物語性の強い作品を求める読者に支持されている。
「ビジュアルストーリーコミック誌」というキャッチコピー:
「ドキドキ☆ビジュアル(D☆V)」という「きらら」系共通のキャッチコピーは本誌では前面に出ておらず、「ビジュアルストーリーコミック誌」という独自のキャッチコピーを掲げている。これは、絵の美しさや表現力を活かしたストーリー漫画であることを明確に打ち出す意図がある。
単行本レーベル「まんがタイムKRコミックス」:
単行本は「まんがタイムKRコミックス」のレーベルから主にB6判で発行される。これは「きらら」系列の雑誌で共通のレーベルであり、本誌が「きらら」の一員であることを示している。
活発なメディアミックス展開:
他の「きらら」系雑誌と同様に、アニメ化される作品が非常に多い点が挙げられる。特にテレビアニメ化された作品は複数あり、これにより雑誌の知名度向上と作品の人気拡大に貢献している。
「まんがタイムきららフォワード」からは、そのストーリー性とビジュアルを重視する方針を反映した多くの人気作品が誕生している。
『夢喰いメリー』(牛木義隆):
人の夢を食べる悪魔(夢魔)の少女と、夢の世界を見ることができる少年が、人間と夢魔の境界を巡る戦いに巻き込まれていくファンタジーバトル。アニメ化もされた。
『ハナヤマタ』(浜弓場双):
平凡な女子中学生が、金髪の少女と出会い、日本の伝統舞踊である「よさこい」に青春を捧げる物語。色鮮やかな描写と青春群像劇が魅力で、アニメ化された。
『がっこうぐらし!』(原作:海法紀光(ニトロプラス)、作画:千葉サドル):
ゾンビが蔓延する世界で、学校に立てこもる女子高生たちのサバイバルを描く。日常系の雰囲気から一転する衝撃的な展開が話題となり、アニメ化、実写映画化された。
『あんハピ♪』(琴慈):
不運な少女たちが集められた「幸福クラス」で、少しでも幸せになるために奮闘する日常系コメディ。アニメ化された。
『ゆるキャン△』(あfろ):
女子高生たちがソロキャンプやグループキャンプを楽しむアウトドア漫画。美しい自然描写とキャンプの魅力が丁寧に描かれ、社会現象を巻き起こす大ヒットとなり、複数期のテレビアニメ化、劇場アニメ化、ドラマ化など多岐にわたるメディア展開がされている。
『はるかなレシーブ』(如意自在):
沖縄を舞台に、ビーチバレーに挑む女子高生たちの青春を描くスポーツ漫画。アニメ化された。
『球詠』(マウンテンプクイチ):
廃部寸前の女子野球部を舞台に、少女たちが甲子園を目指す青春野球漫画。アニメ化された。
『スローループ』(うちのまいこ):
引っ込み思案な少女と、明るい継姉が、釣りを通じて心を繋いでいく物語。釣りや海の魅力を描く癒やし系の作品で、アニメ化された。
これらの作品は、「まんがタイムきららフォワード」がストーリー漫画に特化し、多様なジャンルで新たな魅力を創出し、多くの読者を惹きつける雑誌であることを示している。