LaLa(ララ)

『LaLa』は、白泉社が1976年7月に隔月刊誌『花とゆめ LaLa』として創刊し、1977年7月より月刊化されて現在の誌名『LaLa』となった少女向け漫画雑誌である。毎月24日発売され、版型はB5判、キャッチコピーは「バラエティに富んだ パワーあふれるコミック誌」である。
創刊当初は、姉妹誌『花とゆめ』よりもやや上の年齢層、いわゆる「マンガ読みのための雑誌」を想定し、当時を代表する著名な漫画家たちの作品を掲載することで注目を集めた。初代編集長である小長井信昌の指導のもと、新人の発掘と育成にも力を入れ、多くの人気漫画家を輩出してきた。少女漫画としては珍しく、恋愛一辺倒ではない多様なジャンルの作品を積極的に取り入れる誌風が特徴で、「懐の深い雑誌」として知られている。長年の歴史の中で、多くの連載作品がアニメ化、ドラマ化、実写映画化といったメディアミックス展開され、社会的なヒットを飛ばしている。2018年からは電子版の配信も開始し、時代の変化に対応している。
多様なジャンルと物語性重視の誌風:
一般的な少女漫画誌が恋愛を主軸とするのに対し、『LaLa』は創刊当初から「恋愛一辺倒ではない」「物語の枠組みを重視する」という特徴を持つ。SF、ファンタジー、歴史、コメディ、日常系など、幅広いジャンルの作品が掲載され、読者は多様なテーマと世界観の物語を楽しむことができる。この「雑多性」が、読者の好奇心を刺激し続けている。
実力派作家の育成と独特の作風:
「24年組」と呼ばれる少女漫画史を代表する巨匠たち(山岸凉子、大島弓子、萩尾望都、竹宮恵子など)の作品を創刊期から掲載し、高い文学性と芸術性を追求した。また、成田美名子、ひかわきょうこ、樹なつみ、清水玲子など、後に少女漫画界を牽引する実力派の漫画家たちを多数輩出している。個性的で洗練された絵柄や、深みのある人間ドラマ、またはコミカルでテンポの良いストーリーテリングなど、作家ごとの「フェチ性」や個性が強く表れた作品が多い。
メディアミックスと関連レーベルの展開:
掲載作品はアニメ、ドラマ、映画、舞台、ゲームなど、多様なメディアミックスが盛んに行われている。『桜蘭高校ホスト部』『夏目友人帳』『赤髪の白雪姫』などがその代表例である。単行本は白泉社の総合レーベル「花とゆめコミックス」から刊行され、一部は「白泉社文庫」にも収録されるなど、長期にわたって読者に愛される作品群を形成している。
高い年齢層を意識した読み応え:
『花とゆめ』よりもやや高めの年齢層をターゲットにしているため、物語の奥深さやキャラクターの複雑な感情、社会的なテーマなどを扱った作品も多く、読み応えがある点が特徴である。読者はキャラクターの成長や物語の展開をじっくりと追体験できる。
『LaLa』からは、その長い歴史の中で多くのヒット作や名作が誕生し、多岐にわたるメディアミックス展開がされている。
『日出処の天子』(山岸凉子):
聖徳太子を主人公にした歴史フィクションで、史実と作者の独創的な解釈が融合した傑作である。
『綿の国星』(大島弓子):
猫の視点から人間社会や愛を描いた幻想的な作品で、劇場アニメ化もされた。
『摩利と新吾』(木原敏江):
明治時代を舞台にした、男装の麗人と少年の絆を描くロマンス作品。
『CIPHER』(成田美名子):
ニューヨークを舞台に、双子の兄弟と彼らを取り巻く人々の青春と成長を描いた作品。
『花咲ける青少年』(樹なつみ):
大財閥の令嬢が結婚相手を探す旅に出る、壮大なロマンスファンタジー。アニメ化もされた。
『彼氏彼女の事情』(津田雅美):
優等生同士のカップルが、互いの素顔を知りながら成長していく学園ラブコメディ。アニメ化、ドラマ化された。
『っポイ!』(やまざき貴子):
高校を舞台に、テニス部員の少年たちの友情、恋、成長を描く青春漫画。ドラマ化もされた。
『おまけの小林クン』(森生まさみ):
おまけと称していつも小林くんがついてくる日常コメディ。
『お迎えです。』(田中メカ):
幽霊が見える男子高校生と、霊魂をあの世へ送る仕事をする女性との交流を描くファンタジー。ドラマ化された。
『桜蘭高校ホスト部』(葉鳥ビスコ):
庶民の女子高生がセレブのホスト部に入部し、個性的な部員たちと騒がしい日常を送る学園コメディ。アニメ化、ドラマ化、実写映画化、舞台化と多岐にわたるメディアミックス展開で大ヒットした。
『夏目友人帳』(緑川ゆき):
妖怪が見える少年が、祖母から受け継いだ「友人帳」をめぐり、妖怪たちとの出会いや別れを経験する和風ファンタジー。アニメ化、劇場アニメ化もされ、国民的な人気を誇る。現在も連載中である。
『ヴァンパイア騎士』(樋野まつり):
吸血鬼と人間の共存する学園を舞台に、複雑な人間関係や恋を描くゴシックファンタジー。アニメ化、ミュージカル化もされた。
『会長はメイド様!』(藤原ヒロ):
元男子校の女子生徒会長と、文武両道のイケメン男子の学園ラブコメディ。アニメ化された。
『赤髪の白雪姫』(あきづき空太):
赤い髪を持つ少女が、薬剤師としての才能を活かし、国の第二王子と惹かれ合っていくファンタジーロマンス。アニメ化された。現在も連載中である。
『学園ベビーシッターズ』(時計野はり):
両親を亡くした兄弟が、学園のベビーシッター部で働くことになる日常系コメディ。アニメ化された。現在も連載中である。
『図書館戦争 LOVE&WAR』(弓きいろ/原作:有川浩):
表現の自由を守る「図書隊」の隊員たちの戦いと恋愛を描くSFアクション。アニメ化、実写映画化された。
『天堂家物語』(斎藤けん):
没落した子爵家の娘が、ある目的のため貴族の家に嫁ぐ物語。現在も連載中である。
『転生悪女の黒歴史』(冬夏アキハル):
前世の記憶を持つ悪役令嬢が、その黒歴史を回避しようと奮闘するコメディ。現在も連載中である。
これらの作品は、『LaLa』が長年にわたり多様な読者の心をつかんできた証である。