花とゆめ

「花とゆめ」は、株式会社白泉社が発行する、日本の代表的な少女漫画雑誌の一つである。1974年に創刊され、主に10代の少女をターゲットとしながらも、その 独創的で多様な作品群は幅広い年齢層から支持されている。
1. ファンタジー作品の宝庫
本誌を語る上で欠かせないのが、ファンタジー・異世界ジャンルの強さである。『ガラスの仮面』(厳密にはミステリー要素もある演劇漫画だが、壮大な物語性はファンタジーに通じる)、『パタリロ!』(ギャグ要素も強いが独特の世界観)、『フルーツバスケット』、『暁のヨナ』など、時代を超えて愛される壮大なスケールのファンタジー作品を数多く生み出してきた。緻密な世界観設定と魅力的なキャラクターが織りなす物語は、本誌の大きな魅力となっている。
2. 個性的でパワフルなキャラクター造形
登場人物、特にヒロインが個性的で、自らの意志を持ち、困難に立ち向かっていく姿が描かれることが多い。単にかわいいだけでなく、強さ、ユニークさ、時には破天荒さをも併せ持つキャラクターたちは、読者の共感を呼び、物語を力強く牽引する存在である。
3. コメディ・ギャグセンスの高さ
シリアスな物語だけでなく、質の高いコメディやギャグ漫画も本誌の重要な柱である。『パタリロ!』、『動物のお医者さん』、『赤ちゃんと僕』、『花ざかりの君たちへ』、『桜蘭高校ホスト部』(※LaLa連載だが関連が深い)、『俺様ティーチャー』、『高嶺と花』など、笑いの中にもキャラクターの魅力やドラマが光る作品が多く、読者を飽きさせない。
4. 多様なジャンルへの挑戦
ファンタジーや学園ラブコメディといった王道ジャンルに加え、ミステリー、サスペンス、歴史もの、SFなど、少女漫画の枠にとらわれない意欲的なジャンルの作品も積極的に掲載する懐の深さを持つ。これにより、常に新鮮で 独創的なエンターテインメントを提供し続けている。
5. 作家の個性を尊重する編集方針
作家それぞれの持ち味や 独創性を最大限に活かす編集方針が特徴である。画風やストーリーテリングにおいて、画一的ではない、多様な才能が開花する土壌となっている。HMC(花とゆめまんが家コース)などを通じた新人作家の発掘・育成にも熱心である。
6. 積極的なメディアミックス展開
人気作品は、アニメ化、ドラマ化、映画化、舞台化など、様々なメディアミックスが展開される。『フルーツバスケット』や『暁のヨナ』などの近年の再アニメ化や、『花ざかりの君たちへ』の複数回にわたるドラマ化など、時代を超えてメディア展開が行われる作品も多い。
7. 長く愛される名作の存在
創刊から長きにわたり、『ガラスの仮面』や『パタリロ!』といった超長期連載作品が看板として存在し続けていることは特筆すべき点である。親子二代、三代にわたって読み継がれるような、時代を超える普遍的な魅力を持った作品が多いのも、本誌の強みである。