FEEL YOUNG

「FEEL YOUNG」は、1989年に祥伝社から創刊されたヤング女性向けの漫画雑誌である。略称は「フィーヤン」。毎月8日(日曜日の場合は7日)に発売され、読者層は2011年時点で23〜29歳女性が中心だ。先だって発行されていた『FEEL』(現在休刊)の姉妹誌として誕生し、現代を生きる女性たちのリアルな感情や日常をテーマにした作品を多く掲載している。単行本は「フィールコミックス」レーベルで刊行されている。
質の高い作品と独自のポジション:
レディコミバブル終焉後、多くの競合誌が休廃刊する中で、「FEEL YOUNG」は「ヤング」の誌名が含まれる唯一のヤングレディース誌として生き残った。これは、読者層のニーズに合わせた質の高い作品を提供し続けた結果である。恋愛、結婚、仕事、家族、友情といったテーマを、現実的かつ深掘りした視点で描く作品が多く、読者の共感を呼んでいる。
多様な才能の発掘と育成:
それまで青年誌を中心に活躍していた岡崎京子、内田春菊、やまだないと、南Q太といった個性的な作家陣を積極的に迎え入れた。また、少女漫画界で伸び悩んでいた安野モヨコをブレイクさせるなど、既存の枠にとらわれず、新たな才能を発掘し、その個性を最大限に引き出すことに長けている。これにより、他誌とは一線を画す独特の誌面を構築している。
先進的なデジタル展開:
2011年3月号より、コミック誌としては初めて紙媒体と電子版の同時販売を開始した。これにより、読者は自身のライフスタイルに合わせて雑誌を楽しむことが可能となり、デジタル時代への対応をいち早く進めた雑誌の一つである。
リアルな女性の心情描写:
掲載作品は、現代女性が抱える悩みや葛藤、喜びを繊細かつ大胆に描き出すことが特徴だ。単なる夢物語ではない、現実味のある恋愛や人間関係、社会との向き合い方など、読者が自身の経験と重ね合わせて読み進められるような物語が多い。
「FEEL YOUNG」からは、多くの読者の支持を集めた話題作が多数誕生している。
『ハッピー・マニア』(安野モヨコ):
恋に奔走する主人公の破天荒な日常を描いたラブコメディで、安野モヨコの代表作として大ブレイクした。テレビドラマ化もされ、現在の連載作『後ハッピーマニア』へと続く。
『ヘルタースケルター』(岡崎京子):
究極の美容整形を施したトップモデルの破滅を描いた作品で、その衝撃的な内容と鋭い社会批判が話題を呼び、実写映画化もされた。
『ピース オブ ケイク』(ジョージ朝倉):
恋愛に不器用な女性の成長と葛藤を描いた作品で、そのリアルな心情描写が共感を呼び、実写映画化された。
『あなたのことはそれほど』(いくえみ綾):
不倫をテーマに、登場人物たちの複雑な感情と関係性を描いた作品で、テレビドラマ化され大きな反響を呼んだ。
『うさぎドロップ』(宇仁田ゆみ):
独身男性が亡き祖父の隠し子を引き取って育てることになる、温かい家族の物語。アニメ化、実写映画化された。
『違国日記』(ヤマシタトモコ):
人付き合いが苦手な小説家と、両親を亡くした姪の共同生活を描いた作品。独特の人間関係と心の機微を丁寧に描き、多くの文学賞を受賞し、実写映画化、テレビドラマ化もされた。
『女の園の星』(和山やま):
女子校の教師と生徒たちのシュールでコミカルな日常を描いたギャグ漫画。独特のユーモアセンスが人気で、アニメ化もされた。
『中学聖日記』(かわかみじゅんこ):
年下の教え子に惹かれていく女性教師の禁断の恋を描いた作品。テレビドラマ化された。
『こっち向いてよ向井くん』(ねむようこ):
10年ぶりに恋をしようとする30代男性の奮闘を描いた作品で、男女のすれ違いをリアルに描写し、テレビドラマ化された。
『婚姻届に判を捺しただけですが』(有生青春):
偽装結婚から始まるラブコメディで、テレビドラマ化され人気を博した。
これらの作品を通じて、「FEEL YOUNG」は常に読者の心に響くテーマと物語を提供し続けている。