雑誌概要

「デザート」は、講談社から発行されている月刊の少女向け漫画雑誌である。1996年7月に『Kiss』の増刊として創刊され、1997年7月発売の9月号より『デザート』として独立創刊した。毎月24日に翌々月号が発売される。創刊当初から『少女フレンド』の若手漫画家の作品を掲載しており、同年『少女フレンド』が休刊したことで、同誌の漫画家たちを引き継いだ形となった歴史を持つ。主な読者層は10代から20代の若い女性であり、B5判で無線綴じの形式を取っている。

特徴

  1. 「新・王道ラブストーリー」の追求:
    「10代から20代の女の子にとって一番「おいしい」少女漫画誌」を目指しており、「新・王道ラブストーリー」と称される作品群が特徴である。読者が胸キュンできるような、甘く、時に切ない恋愛模様が丁寧に描かれている。

  2. 魅力的な「素敵男子」:
    「よりどりみどりの素敵男子が女の子を明るく元気に」するというコンセプトのもと、多様な魅力を持つ男性キャラクターが多数登場する点が大きな特徴である。読者の心を掴む個性的なイケメンたちが、物語の核をなす恋愛関係を彩っている。

  3. キレイめで大人びた絵柄:
    読者の年齢層に合わせて、作品の多くは「キレイめで大人びた絵柄」が採用されている。これにより、繊細な表情やファッション、背景などが描かれ、視覚的にも洗練された印象を与えている。

  4. 恋愛要素と個性的な登場人物:
    「少女漫画らしい恋愛要素」を基盤としつつも、「インパクトの強い個性的な」登場人物たちが物語に深みと面白さを加えている。これにより、読者は感情移入しやすく、単なる恋愛だけでなく、登場人物の成長や人間関係のドラマも楽しむことができる。

  5. メディアミックスの活発さ:
    多くの連載作品が実写映画化やアニメ化、ドラマ化されるなど、積極的なメディアミックス展開が行われている。これにより、雑誌の読者層を超えて広く一般にも認知され、人気を博している作品が多数存在する。

代表作品

「デザート」からは、数々の人気作や話題作が生まれている。

主な過去の代表作品

  • 『好きっていいなよ。』(葉月かなえ):不器用な少女と学校一の人気者の男子の恋愛を描き、アニメ化、実写映画化された。

  • 『となりの怪物くん』(ろびこ):問題児男子と優等生女子の交流を描く学園ラブコメディで、アニメ化、実写映画化された。

  • 『ライアー×ライアー』(金田一蓮十郎):嘘から始まる姉弟の偽装恋愛を描き、実写映画化された。

  • 『たいようのいえ』(タアモ):家族の温かさと恋愛が交錯する物語で、第38回講談社漫画賞少女部門を受賞した。

  • 『3D彼女』(那波マオ):オタク男子と美少女の恋愛を描き、アニメ化、実写映画化された。

  • 『春待つ僕ら』(あなしん):バスケ部のイケメンたちと普通の女子高生の青春群像劇で、実写映画化された。

  • 『おはよう、いばら姫』(森野萌):古い屋敷に住む少女と、彼女を取り巻く不思議な現象を描いた作品である。

  • 『恋わずらいのエリー』(藤もも):SNSの観察が趣味の女子高生と学校の人気者の男子の恋愛を描き、実写映画化された。

  • 『僕と君の大切な話』(ろびこ):男女の会話劇を中心に、恋愛の機微を描いた作品だ。

  • 『リビングの松永さん』(岩下慶子):シェアハウスで暮らす年上男性との恋愛を描き、テレビドラマ化された。

主な現在連載中の代表作品(2025年8月号現在)

  • 『モエカレはオレンジ色』(玉島ノン):消防士の男性と女子高生の恋愛を描き、実写映画化もされた人気作である。

  • 『花野井くんと恋の病』(森野萌):恋愛経験のない女子と、一途な男子の恋を描いた作品だ。アニメ化も決定している。

  • 『ゆびさきと恋々』(森下suu):耳が聞こえない女子大学生と世界を旅する男子の純愛を描く作品で、アニメ化もされている。

  • 『うるわしの宵の月』(やまもり三香):容姿端麗で王子様のような女子高生と、彼女に惹かれる男子の恋愛を描く。

  • 『なのに、千輝くんが甘すぎる。』(亜南くじら):片思いをこじらせた女子高生と学校の人気者との「片思いごっこ」を描き、実写映画化された。

これらの作品は、「デザート」が長年にわたり読者に愛される理由となっている。