月刊コンプエース

「月刊コンプエース」(Comp-Ace)は、KADOKAWA(角川書店ブランド)が発行する漫画雑誌である。2005年3月26日の発刊当初は季刊であったが、同年11月から隔月化、2006年12月からは月刊化された。2007年6月26日発売の8月号で『コンプティーク』増刊号から独立創刊したことに伴い、雑誌名に「月刊」が追加された。その実質的な前身は『月刊少年エース』増刊の『エース桃組』だが、『エース』と『コンプティーク』の共同編集により、コンピュータゲームの漫画化作品を中心とするメディアミックス路線を敷いて創刊された。
メディアミックス路線の強化:
創刊当初から「コンピュータゲームの漫画化作品を中心とするメディアミックス路線」を明確に打ち出しており、KADOKAWA(旧角川書店)の強みであるライトノベルやゲーム、アニメ作品のコミカライズを多数掲載している。これにより、原作ファンを漫画雑誌へと誘導し、幅広い読者層を獲得している。特に、近年人気を博している異世界ファンタジーや悪役令嬢系の作品のコミカライズが非常に多い。
人気コンテンツのスピンオフ作品の充実:
『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ』シリーズや『オーバーロード 不死者のOh!』、『幼女戦記』のコミカライズなど、原作の人気を背景にしたスピンオフ作品も多く掲載されている。これにより、原作の世界観をさらに深掘りしたり、異なる視点から物語を楽しんだりできる機会を提供している。
独自の世界観を持つオリジナル作品も展開:
コミカライズが主体ではあるものの、例えば『らき☆すた』のように、本誌連載からアニメ化され大ヒットしたオリジナル作品も生み出している。これにより、単なるコミカライズ雑誌にとどまらず、新しいコンテンツの創出にも貢献している。
デジタル展開の推進:
2024年2月には、ウェブコミック誌『コンプエース コミックコネクト』がカドコミで開始されるなど、デジタルプラットフォームでの展開も積極的に行っている。これにより、より多くの読者に作品が届く機会を増やしている。
角川漫画新人賞への参加と特別賞:
『月刊少年エース』や『ヤングエース』など、角川書店の漫画雑誌群が共同主催する「角川漫画新人賞」に参加しており、コンプエースとコンプティーク共同の特別賞も用意されている。これは、新人漫画家の発掘と育成にも力を入れている証である。
「月刊コンプエース」からは、メディアミックス戦略を背景に数多くの人気作品が誕生している。
現在の主な連載作品(コミカライズが多い):
『悪役一家の奥方、死に戻りして心を入れ替える。』(漫画:鏡、原作:丘野優):
死に戻りした悪役一家の奥方が心機一転して生きる物語。
『異世界はスマートフォンとともに。』(漫画:そと、原作:冬原パトラ):
現代知識とスマホを駆使して異世界を生きる主人公の物語。
『痛いのは嫌なので防御力に極振りしたいと思います。』(漫画:おいもとじろう、原作:夕蜜柑):
防御力に特化した主人公のVRMMO冒険記で、アニメ化もされた。
『オーバーロード 不死者のOh!』(漫画:じゅうあみ、原作:丸山くがね):
人気ダークファンタジー『オーバーロード』のスピンオフコメディ。
『陰の実力者になりたくて!』(漫画:坂野杏梨、原作:逢沢大介):
陰の実力者を目指す主人公の勘違い系異世界コメディで、アニメ化もされた。
『治癒魔法の間違った使い方 〜戦場を駆ける回復要員〜』(漫画:久我山レキ、原作:くろかた):
治癒魔法を誤用して戦闘に貢献する異世界ファンタジーで、アニメ化もされた。
『東方酔蝶華 ロータスイーター達の酔醒』(作画:水炊き、原作:ZUN):
東方Projectの公式連載漫画。
『Fate/EXTRA CCC FoxTail』(作画:たけのこ星人、原作:TYPE-MOON・マーベラス):
人気ゲーム『Fate/EXTRA CCC』のスピンオフ漫画。
『Fate/kaleid liner プリズマ☆イリヤ ドライ!!』(作画:ひろやまひろし、原作:TYPE-MOON):
人気スピンオフシリーズの最新作で、アニメ化もされている。
『やり直し令嬢は竜帝陛下を攻略中』(漫画:柚アンコ、原作:永瀬さらさ):
ループする人生で竜帝を攻略する悪役令嬢もの。
『勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした』(漫画:平安ジロー、原作:灯台):
勇者召喚に巻き込まれた一般人が異世界で過ごす物語。
『幼女戦記』(漫画:東條チカ、原作:カルロ・ゼン):
転生した幼女が最前線で戦う異世界戦記で、アニメ化され大ヒットした看板作品。
『LV999の村人』(作画:岩元健一、原作:星月子猫):
LV999になった村人の異世界冒険記。
過去の主な連載作品:
『らき☆すた』(美水かがみ):
女子高生たちの日常を描く4コマ漫画で、アニメ化され社会現象を巻き起こした本誌を代表するオリジナルヒット作。
『オーバーロード』(作画:深山フギン、原作:丸山くがね):
MMORPGのボスキャラに転生した主人公の物語で、アニメ化もされた。
『ひぐらしのなく頃に』シリーズ(作画:鬼頭えん、影崎由那など、原作:竜騎士07):
人気サウンドノベルゲームのコミカライズシリーズ。
『ストライクウィッチーズ』シリーズ(作画:かずみ義幸、たなか友基、しのづかあつと、槌居など、原作:島田フミカネ&Projekt Kagonish):
人気アニメのコミカライズおよびスピンオフシリーズ。
『まおゆう魔王勇者「この我のものとなれ、勇者よ」「断る!」』(作画:石田あきら、原作:橙乃ままれ):
人気ライトノベルのコミカライズで、アニメ化された。
『魔法少女リリカルなのはViVid』(作画:藤真拓哉、原作:都築真紀):
人気魔法少女アニメシリーズのコミカライズ。
『ニンジャスレイヤー』(作画:余湖裕輝、原作:ブラッドレー・ボンド+フィリップ・N・モーゼズ):
サイバーパンク・ニンジャアクション小説のコミカライズ。
これらの作品は、「月刊コンプエース」がKADOKAWAのメディアミックス戦略の中核を担い、多様なファン層にアピールする作品を提供し続けていることを示している。