ビッグコミックスペリオール

「ビッグコミックスペリオール」は、1987年7月1日に小学館から創刊された青年漫画雑誌である。月2回、第2・第4金曜日に発売される。創刊当初は『ビッグコミックオリジナル増刊号』からの作品が多くを占めていたが、現在では小学館の「ビッグコミック」系列誌(『ビッグコミック』『ビッグコミックオリジナル』『ビッグコミックスピリッツ』)と並ぶ独自の連載陣を確立している。単行本は「ビッグコミックス」レーベルで発売される。
ターゲット層と方針転換:
創刊当初は、30歳代以上の社会人向け『ビッグコミックオリジナル』と学生世代向け『ビッグコミックスピリッツ』の中間である、20歳代の社会人を主なターゲットとしていた。しかし、2012年に方針を転換し、より「コアな層向けの漫画」も積極的に掲載するようになった。これにより、バラエティに富んだ作品群が誌面を飾るようになった。
多様なジャンルの作品群:
ヒューマンドラマ、社会派作品、グルメ漫画、アクション、ミステリー、コメディなど、幅広いジャンルの作品が掲載されている。特に、現実社会を舞台にした、人間の心理や社会の仕組みを深く掘り下げる作品が多い傾向にある。
著名作家と長期連載作品:
池上遼一、小山ゆう、乃木坂太郎、西原理恵子、太田垣康男、松本大洋など、漫画界の第一線で活躍する著名な作家の作品が多数連載されている。これらの作家による長期連載作品も多く、読者がキャラクターと共に成長し、物語に深く感情移入できる点が魅力だ。
表紙の変遷:
創刊当初は坂井永年によるイラストが表紙を飾っていたが、近年は連載作品のイラストや女性アイドルが表紙を飾るスタイルへと変化している。これは、読者層の変化や雑誌のイメージ戦略の一環と言える。
ウェブサイトでの展開:
本誌のウェブサイトでも漫画やコラムの連載が行われており、読者は雑誌だけでなくオンラインでも作品を楽しむことができる。
「ビッグコミックスペリオール」からは、その歴史の中で数々の話題作やヒット作が生まれている。
『あずみ』(小山ゆう):
戦国時代を舞台に、美少女刺客あずみの過酷な運命と戦いを描く歴史アクション。その壮絶な物語とアクションシーンが人気を博し、実写映画化もされた。続編の『AZUMI』も連載された。
『医龍-Team Medical Dragon-』(乃木坂太郎、原案:永井明):
天才的な技術を持つ外科医・朝田龍太郎が、腐敗した医療現場でチームを率いて改革に挑む医療ドラマ。そのリアルな描写と感動的なストーリーが大きな反響を呼び、テレビドラマ化された。
『機動戦士ガンダム サンダーボルト』(漫画:太田垣康男、原案:矢立肇・富野由悠季):
ガンダムの世界観を舞台に、一年戦争の激戦区「サンダーボルト宙域」での壮絶な戦いを描く。緻密なメカ描写と人間ドラマが人気で、アニメ化もされている。
『GIGANT』(奥浩哉):
ある日突然巨大化してしまった女子高生を巡るSFアクション。奥浩哉らしい独特の視点と大胆な展開が特徴だ。
『コタローは1人暮らし』(津村マミ):
一人暮らしの漫画家が、アパートの隣に引っ越してきた4歳の訳あり少年・コタローと交流するヒューマンドラマ。その温かさと切なさが人気を集め、テレビドラマ化、アニメ化された。
『血の轍』(押見修造):
過保護な母親に支配される少年と、その歪んだ母子関係を描く心理サスペンス。押見修造特有の生々しい人間描写が読者に強い衝撃を与えた。
『らーめん再遊記』(作画:河合単、原作:久部緑郎、協力:石神秀幸):
人気グルメ漫画『ラーメン発見伝』『らーめん才遊記』に続くシリーズ。ラーメン業界を舞台に、食の真髄を追求する人間模様を描く。
『フットボールネーション』(大武ユキ):
サッカーをテーマに、選手たちの肉体の動きや戦術を詳細に描写するスポーツ漫画。そのリアリティと熱いドラマが評価されている。
『夏目アラタの結婚』(乃木坂太郎):
児童相談所の職員が、猟奇殺人事件の容疑者である死刑囚と面会を重ね、事件の真相に迫っていくサスペンス。緻密な心理描写と予測不能な展開が魅力で、実写映画化が決定している。
「ビッグコミックスペリオール」は、これらの多岐にわたる作品を通じて、現代社会を生きる読者の心に響く、深く読み応えのある物語を提供し続けている。