少年ジャンプ+

『少年ジャンプ+』(J+)は、集英社が2014年9月22日より配信を開始した『週刊少年ジャンプ』(WJ)の公式アプリケーションおよびウェブサイトである。前身である『ジャンプLIVE』の機能を発展させ、『ジャンプBOOKストア!』のウェブ機能を統合してリリースされた。
iOS・Android向けのスマートフォン・タブレット端末アプリが提供されており、ウェブブラウザでの閲覧も可能である。毎日複数作品のウェブコミックを無料配信するほか、『週刊少年ジャンプ』本誌やジャンプコミックスの電子版販売も行っている。
『週刊少年ジャンプ』との連携が非常に強く、新連載の予告や、人気作品の最終回に合わせて電子版の販売を強化するなど、相互に作品の行き来が活発である。また、『ジャンプ改』や『ジャンプSQ.19』といった休刊した雑誌から一部作品が移籍するなど、集英社内のデジタル漫画プラットフォームの中心的な存在として機能している。
「週刊少年ジャンプ」ブランドのデジタル展開:
『週刊少年ジャンプ』のデジタル戦略の中核を担い、本誌の電子版販売だけでなく、オリジナル作品の無料配信を通じて、新たな読者層を獲得している。紙とデジタルの垣根をなくし、漫画文化を広げる役割を担っている。
毎日更新される豊富なオリジナル作品群:
毎日複数作品が無料で更新されるため、読者は飽きることなく新しい漫画に触れることができる。掲載ジャンルは多岐にわたり、従来の少年漫画の枠に収まらない、実験的かつ個性的な作品が多い点が特徴である。初期には刺激の強い作品やホラー、陰鬱なテーマの作品も多かったが、現在は「根底が明るい」作風の作品も人気を集めている。
新人発掘・育成とメディアミックスの成功:
漫画投稿サイト「少年ジャンプルーキー」と連携し、そこから多くの新人作家やヒット作を輩出している。『SPY×FAMILY』や『怪獣8号』、『地獄楽』、『ダンダダン』など、J+オリジナルの連載作品から、アニメ化、実写化といったメディアミックスが盛んに行われ、国民的な人気を博す作品が多数生まれている。これらの作品がJ+の集客の大きな柱となっている。
無料配信と収益化モデルの確立:
基本的に無料で漫画を読めるが、単行本の電子販売や広告収入、話ごとの課金など、多様な収益化モデルを確立している。特にネットワーク広告を導入し、広告収入の半分を作家に還元するシステムは、作家のモチベーション維持にも貢献している。コロナ禍においては、積極的な無料提供によりユーザー数が大幅に増加し、出版社系漫画アプリの国内トップクラスの地位を確立した。
デジタルならではの読者体験と話題性:
アプリやウェブサイトの特性を活かし、作品の閲覧履歴やレコメンド機能、さらにはSNSとの連携によって、読者が話題を共有しやすい環境を提供している。『タコピーの原罪』や『ルックバック』のように、短期連載や読切作品がSNS上で大きな反響を呼ぶことも多く、デジタルならではの速い話題拡散力を強みとしている。
『少年ジャンプ+』からは、紙媒体の『週刊少年ジャンプ』とは異なる独自のヒット作が多数誕生している。
『エルドライブ【ēlDLIVE】』(天野明):
宇宙を舞台にしたSFアクション。創刊時の看板作品の一つ。
『カラダ探し』(ウェルザード/村瀬克俊):
夜の学校で起こるホラーサスペンス。J+初期のヒット作の一つ。
『とんかつDJアゲ太郎』(イーピャオ/小山ゆうじろう):
とんかつ屋の跡継ぎがDJとして成長するコメディ。アニメ化、実写映画化された。
『ファイアパンチ』(藤本タツキ):
特殊能力を持つ不死身の少年が、復讐のために世界を旅するダークファンタジー。
『終末のハーレム』(LINK/宵野コタロー):
男性がほぼ絶滅した世界を舞台にしたSFエロティックサスペンス。アニメ化された。
『彼方のアストラ』(篠原健太):
宇宙旅行中に遭難した高校生たちが、協力して地球を目指すSFサスペンス。ウェブコミック史上初のマンガ大賞を受賞し、アニメ化もされた。
『地獄楽』(賀来ゆうじ):
不死身の死刑囚が、不老不死の仙薬を求めて謎の島に上陸するダークファンタジーアクション。J+の人気を牽引し、アニメ化された。
『SPY×FAMILY』(遠藤達哉):
スパイの父、殺し屋の母、超能力者の娘が、互いの正体を隠しながら「仮初め家族」として暮らすコメディ。J+の看板作品として絶大な人気を誇り、アニメ化、劇場アニメ化、舞台化と多方面で展開されている。
『怪獣8号』(松本直也):
怪獣が日常を脅かす世界で、怪獣と戦う主人公を描くSFアクション。J+発の新たな看板作品として人気を博し、アニメ化された。
『ダンダダン』(龍幸伸):
オカルト好きな少年と少女が、宇宙人や妖怪との遭遇を通して成長するバトルコメディ。アニメ化が決定している。
『チェンソーマン』第二部(藤本タツキ):
『週刊少年ジャンプ』で連載された第一部の続編。予測不能な展開と独特の世界観で人気を博し、アニメ化もされた。
『タコピーの原罪』(タイザン5):
地球にやってきた異星人と、虐待を受ける少女の交流を描く、わずか17話の短期連載ながら社会現象を巻き起こした衝撃作。
『ラーメン赤猫』(アンギャマン):
人間以外の猫や虎、ワニなどが働くラーメン店の日常を描くコメディ。ウェブ漫画投稿サイト「少年ジャンプルーキー」出身の作品として初のテレビアニメ化が決定している。
これらの作品は、『少年ジャンプ+』がデジタルプラットフォームとして、次世代のヒット作を生み出し続けていることを明確に示している。