雑誌概要

『裏サンデー』は、小学館が2012年4月18日に「掟破りの無料WEBマンガサイト」「脱獄型WEBコミックサイト」というコンセプトのもと、石橋和章ら編集者数名によって立ち上げられ、配信を開始した無料コミック配信サイトである。通称『裏サン』。

創刊当初は『週刊少年サンデー』編集部が運営していたが、後に独立し、現在は『裏サンデー』編集部が運営を担っている。2012年5月7日より平日日替わりで連載作品を更新し、各作品には読者が1日1回投票できる投票ボタンやコメント機能が付与され、訪問数や得票数も公開されるなど、読者参加型の特徴を持つ。配信形式は電子書籍ビューワを使用せず、ダウンロード制限のないJPEG画像で掲載されるという、当時としては珍しい方式を採用していた。創刊以来、単行本発売後も全話掲載していたが、2013年9月2日のリニューアル以降、最新話と一部の過去掲載分のみの公開へと変更された。

2014年12月には派生無料スマートフォンアプリ『マンガワン』を開始し、2015年4月のサイトリニューアル後は『マンガワン』がメインの配信プラットフォームとなっている。『裏サンデー』は、そのウェブ版としての役割も果たしている。マスコットキャラクターはナマズの「ゲンコウ・ビリー」である。

特徴

  1. 「無料」と「ウェブ」を活かした革新性:
    当初から全作品を無料で配信するという方針を掲げ、「掟破り」な姿勢で注目を集めた。ウェブ媒体に特化することで、紙媒体の制約にとらわれない自由な表現と、手軽に読めるアクセシビリティを確立した。また、特定の電子書籍ビューワを介さず、JPEG画像での配信は、読者にとっての利便性を高めた。

  2. 読者参加型と透明性の高い評価システム:
    各作品に設けられた投票ボタンやコメント機能、そして訪問数や得票数の公開は、読者が作品の人気度を直接的に評価し、その結果が可視化されるという透明性の高いシステムであった。これにより、読者の反応が直接作家のモチベーションや作品展開に影響を与える、インタラクティブな関係性を構築した。

  3. ウェブ漫画作家中心の多様なラインナップ:
    『週刊少年サンデー』とは異なり、既存の商業誌で活躍する漫画家だけでなく、ウェブで活動する作家を中心に起用した点が特徴である。これにより、バトル、アクション、コメディ、スポーツ、ファンタジーなど、多岐にわたるジャンルにおいて、ユニークな世界観や実験的な表現を持つ作品が多く掲載され、他の漫画雑誌では見られないような独創的な作風が展開された。

  4. 『マンガワン』への発展とメディアミックスの成功:
    『裏サンデー』で人気を博した作品は、スマートフォンアプリ『マンガワン』へと引き継がれ、さらに多くの読者にリーチできるようになった。特に、『モブサイコ100』や『ケンガンアシュラ』のように、アニメ化や実写ドラマ化、映画化などのメディアミックスが盛んに行われ、大きな成功を収めた作品を多数輩出している。これにより、ウェブ発のコンテンツが商業的な成功を収めるモデルを確立した。

代表作品

『裏サンデー』からは、ウェブコミックならではの斬新な発想を持つ多数のヒット作品が輩出され、その多くがメディアミックス展開されている。

  • 『モブサイコ100』(ONE):
    超能力を持つ少年の日常と成長を描いたギャグ・バトル漫画で、作者ONEの独特な作風が人気を呼び、アニメ化もされた代表作である。

  • 『ケンガンアシュラ』(だろめおん/原作:サンドロビッチ・ヤバ子):
    企業間の代理戦争として行われる異種格闘技戦を描いたバトル漫画で、その熱い展開と個性的なキャラクターが国内外で人気を博し、アニメ化もされた。続編の『ケンガンオメガ』も同サイトで連載中である。

  • 『ダンベル何キロ持てる?』(MAAM/原作:サンドロビッチ・ヤバ子):
    女子高生が筋トレに励む日常を描いたコメディ漫画で、筋トレの知識を面白く学べる点が特徴であり、アニメ化された。

  • 『出会って5秒でバトル』(みやこかしわ/原作:はらわたさいぞう):
    突如異能力を与えられた人々が参加する「ゲーム」を描いたバトル作品で、緻密な頭脳戦とスピーディーな展開が魅力であり、アニメ化された。

  • 『灼熱カバディ』(武蔵野創):
    マイナー競技であるカバディを題材にした熱血スポーツ漫画で、カバディの魅力を伝え、アニメ化もされた。

  • 『青のオーケストラ』(阿久井真):
    バイオリンを巡る青春群像劇で、繊細な心理描写と音楽への情熱が描かれ、アニメ化もされた。

  • 『プロミス・シンデレラ』(橘オレコ):
    家なし金なしのバツイチアラサー女性と、金持ちの生意気な男子高校生の同居生活を描いたラブコメディで、テレビドラマ化された。

  • 『Helck』(七尾ナナキ):
    魔王を倒した勇者が、魔界で人間滅亡を企む異色のファンタジー作品で、その予測不能な展開が人気を集め、アニメ化された。

  • 『日本三國』(松木いっか):
    三国志をテーマに、現代日本の地方都市が覇権を争うSF歴史ロマンで、その独特の世界観と重厚な物語が注目を集めている。