雑誌概要

「週刊漫画TIMES」は、芳文社が発行する日本の週刊漫画雑誌である。1956年11月に日本初の週刊漫画雑誌として創刊され、当初は『少年チャンピオン』と同様に隔週刊の『漫画TIMES』としてスタートし、後に週刊化されて現在の誌名となった。毎週金曜日に発売され、通称は『週漫(しゅうまん)』だ。キャッチコピーは「一週間をユカイに生きる!」で、大人向けの娯楽漫画を中心に掲載している。

特徴

  1. 日本初の週刊漫画雑誌としての歴史と大人向け路線:
    1956年に創刊された、日本で最も歴史のある週刊漫画雑誌である。創刊当初は大人漫画誌としてスタートし、画家の宮永岳彦やイラストレーターの塚本馨三が長年にわたり表紙イラストを手掛けていたことからも、その歴史と独特の立ち位置がうかがえる。現在も、比較的年齢層の高い男性を主なターゲットとし、社会派、人間ドラマ、食、日常、お色気、任侠、サスペンスなど、多様なジャンルの作品を掲載している。

  2. 不定期連載の多さと掲載スケジュールの明示:
    連載作品のうち、毎号掲載されるのは全体の約4分の1程度で、その他は不定期連載となっている点が大きな特徴だ。読者の利便性を考慮し、雑誌の巻末や公式サイト上で4号後までの掲載スケジュールを明示している。これにより、読者は好きな作品の掲載号を事前に把握しやすい。

  3. 派生誌とウェブ展開:
    過去にはお色気路線に特化した『週漫スペシャル』などの派生誌も存在したが、現在は休刊している。一方で、4コマ専門誌『まんがタイム』は本誌の増刊として刊行を開始した経緯を持つ。近年では、ウェブ漫画サイト「コミックトレイル」や、自社の主要漫画雑誌を統合したコミックアプリ兼サイト「COMIC FUZ」を立ち上げ、デジタル領域でのコンテンツ提供にも注力している。

  4. リアルな社会描写と人間ドラマ:
    掲載作品には、人生の機微や社会の裏側、人間の欲望や葛藤などをリアルに描いた作品が多い傾向にある。例えば、『解体屋ゲン』のような職人ものや、『瓜を破る』のような現代社会の恋愛と人間関係を描いた作品など、深いテーマを扱った作品が評価されている。

  5. 独特の読者層と安定した支持:
    他の少年漫画誌や青年漫画誌とは一線を画す独自の路線を歩み、熱心な固定読者層に支えられている。派手さはないものの、質の高い人間ドラマや専門的なテーマを掘り下げた作品が多く、根強い人気を誇る。

代表作品(連載中および過去の主な作品)

「週刊漫画TIMES」からは、社会派作品から日常系、専門的なテーマを扱った作品まで、幅広いジャンルの作品が生まれている。

現在の主な連載作品:

  • 『解体屋ゲン』(作画:石井さだよし、原作:星野茂樹):
    解体業をテーマにした人間ドラマで、長期にわたり愛読されている看板作品の一つ。

  • 『瓜を破る』(板倉梓):
    現代の恋愛と人間関係、自己肯定感をテーマにした作品で、実写ドラマ化もされた。

  • 『神様のバレー』(作画:西崎泰正、原作:渡辺ツルヤ):
    バレーボール界を舞台にしたスポーツ漫画。

  • 『ごほうびごはん』(こもとも子):
    女性が美味しい食事を楽しむ日常を描いた作品で、実写ドラマ化された。

  • 『まどろみバーメイド』(早川パオ):
    移動式バーを営む女性バーテンダーの物語で、実写ドラマ化された。

  • 『浪人生の彼女とスーパーで』(ひろせみほ):
    浪人生の彼女との日常を描くコメディ。

過去の主な連載作品:

  • 『蔵の宿』シリーズ(作画:田名俊信、原作:西ゆうじ):
    酒蔵を舞台にした人間ドラマで、実写ドラマ化された。

  • 『女帝』(作画:和気一作、原作:倉科遼):
    夜の世界で成り上がっていく女性の姿を描いた人気作。

  • 『信長のシェフ』(作画:梶川卓郎、原作:西村ミツル):
    現代の料理人が戦国時代にタイムスリップする歴史グルメ漫画で、実写ドラマ化された。

  • 『妻、小学生になる。』(村田椰融):
    亡くなった妻が小学生になって戻ってくるという奇想天外な設定の感動作で、実写ドラマ化およびアニメ化された唯一の作品である。

  • 『めぐる未来』(辻やもり):
    妻を救うためにタイムリープを繰り返すサスペンス作品で、実写ドラマ化された。

  • 『本日のバーガー』(作画:才谷ウメタロウ、原作:花形怜):
    ハンバーガーをテーマにしたグルメ漫画。

  • 『ナイスミドル城島部長』(みたにひつじ):
    中年男性の日常を描いたギャグ漫画で、同社の別雑誌でも連載された。

これらの作品は、「週刊漫画TIMES」が長年にわたり、幅広いジャンルの大人向け漫画を提供し続けてきた証である。