

「ヤングエース」は、株式会社KADOKAWAが発行する青年向け月刊漫画雑誌である。2009年7月4日に創刊され、当初は『月刊少年エース』の増刊扱いであったが、2010年5月号より独立誌として刊行されている。毎月4日ごろに発売され、略称は『ヤンエー』だ。主なターゲットは「漫画好きの大人のためのコミック誌!」と銘打ち、青年層を中心に幅広い読者層を獲得している。2020年8月時点での読者の平均年齢は27.4歳である。
大人向けのコンセプトと多様なジャンル:
「角川書店唯一の男性向けヤングコミック誌」を標榜し、「スタイリッシュかつ重厚な作品」を掲載する。恋愛、ファンタジー、サスペンス、日常系など多様なジャンルを扱い、特に『文豪ストレイドッグス』や『であいもん』のように女性からも支持される作品が多数連載され、読者層を広げている。
休刊誌からの連載作品の引き継ぎ:
創刊に際し、以前角川書店が刊行していた青年漫画雑誌『コミックチャージ』の休刊に伴い、『多重人格探偵サイコ』や『黒鷺死体宅配便』などが本誌に移籍連載された。また、『エースアサルト』から『未来日記パラドックス』も引き継ぐなど、既存の人気作品を基盤として創刊された経緯を持つ。
強力な看板作品の存在:
創刊当初は貞本義行の『新世紀エヴァンゲリオン』のコミカライズが誌面を牽引し、最終回掲載時には異例の再掲載となるほどの大きな話題を呼んだ。その後も、国内外で高い評価を受けた『僕だけがいない街』や、KADOKAWAの主力コンテンツとして多角的なメディアミックス展開がされる『文豪ストレイドッグス』など、強力な看板作品を継続的に生み出している。
積極的なメディアミックス展開:
掲載作品のアニメ化、ドラマ化、実写映画化が非常に活発である。2013年以降、多数の作品がテレビアニメ化されており、これにより雑誌の枠を超えて作品が広く認知され、多くのファンを獲得している。
デジタル展開の推進:
2016年にはKADOKAWAの漫画雑誌の一環として電子書籍化され、電子書籍ストアでの配信が開始された。また、2015年には無料Web漫画雑誌「ヤングエースUP」が創刊され、兄弟誌として連携している。
「ヤングエース」からは、創刊当初からの人気作や、後年のヒット作が数多く輩出されている。
『新世紀エヴァンゲリオン』(貞本義行):
言わずと知れたSFロボットアニメのコミカライズで、本誌創刊時の最大の目玉作品であり、初期の誌面を象徴する存在であった。
『多重人格探偵サイコ』(作画:田島昭宇、原作:大塚英志):
『コミックチャージ』から移籍した、サイコサスペンスの代表作。
『黒鷺死体宅配便』(作画:山崎峰水、原作:大塚英志):
こちらも『コミックチャージ』から移籍し、現在も長期連載が続いている人気作である。
『長門有希ちゃんの消失』(ぷよ):
「涼宮ハルヒ」シリーズのスピンオフ作品で、アニメ化もされた。
『僕だけがいない街』(三部けい):
タイムリープを題材にしたサスペンス作品で、「マンガ大賞」などを受賞し、国内外で高い評価を受け、アニメ化・実写ドラマ化・実写映画化された。
『文豪ストレイドッグス』(作画:春河35、原作:朝霧カフカ):
文豪をモデルとしたキャラクターが異能力バトルを繰り広げる作品で、多数のアニメシリーズ、劇場版、舞台化など、KADOKAWAの主力コンテンツとして幅広いメディアミックスが展開されている。
『であいもん』(浅野りん):
京都の和菓子屋を舞台にした心温まるヒューマンドラマで、アニメ化された。
『夫婦以上、恋人未満。』(金丸祐基):
高校生カップルのすれ違いを描いたラブコメディで、アニメ化もされている。
その他、現在連載中の作品には、『Fate/stay night [Heaven’s Feel]』『理想のヒモ生活』『ロード・エルメロイII世の事件簿』など、小説やゲームを原作としたコミカライズ作品も多く見られる。